難しい設定は不要です。今日からAIに仕事を任せる新しい働き方を、初心者向けにやさしく解説します。
電車の中で、ふと「あの資料、まとめておかなきゃ」と思い出したことはありませんか。パソコンは家に置いたまま、スマホしか手元にない。そんな場面で活躍するのが、Anthropicが提供するClaudeの新機能Dispatch(ディスパッチ)です。
Dispatchは、スマホから送ったメッセージをきっかけに、自宅やオフィスのパソコンでClaudeが実際に作業をしてくれる仕組みです。プログラミングの知識がない方でも、文章でお願いするだけで、資料作成やファイル整理、簡単なコード修正までパソコン側で自動的に進んでいくのが最大の特徴です。この記事では、Dispatchの仕組みから具体的な使い方、そして安全に使うための注意点まで、初めての方にもわかりやすくまとめました。
この記事でわかること:Dispatchの基本的な仕組み、実際にできること、始め方の手順、便利な関連機能、そして使う前に知っておきたい安全面のポイントです。専門用語はできるだけかみ砕いて説明しますので、AIツールを触ったことがない方でも最後まで気軽に読み進めていただけます。
Dispatchは、Claudeのデスクトップアプリと組み合わせて使うClaude Coworkという機能の一部として、ベータ版で提供されています。ポイントは、スマホとパソコンが1つの会話でつながるという点です。
普段パソコンで作業を頼むときは、そのパソコンの前に座っている必要があります。しかしDispatchを使うと、通勤中や外出先からスマホでClaudeに指示を送るだけで、自宅やオフィスに置いてあるパソコン側でClaudeが実際に作業を進めてくれます。作業が終わると、スマホに通知が届き、仕上がった資料やファイルをその場で確認できます。
ここで大事な注意点があります。Dispatchはパソコンの中の作業を代行する仕組みなので、作業中はパソコンの電源が入っていて、Claudeのデスクトップアプリが起動している必要があります。パソコンの電源を切っていても作業が進む「クラウドセッション」とは異なる仕組みですので、この違いは覚えておくと安心です。
Dispatchでは、毎回新しい会話を始める必要がありません。スマホとパソコンで同じ1本の会話がつながっていて、Claudeはこれまでのやり取りを覚えたまま作業を続けます。朝の通勤中にスマホで頼んだ内容を、夜パソコンの前で続きから確認する、といった使い方が自然にできます。
これまでAIチャットは「毎回ゼロから説明し直す」という手間がありましたが、Dispatchはその煩わしさを大きく減らしてくれる点が魅力です。
Dispatchに指示を送ると、Claudeはその内容が「開発系の作業」なのか「資料作成のような知識作業」なのかを自分で判断します。バグの修正やテストの実行といったプログラミング寄りの作業はClaude Codeのセッションが担当し、資料作成やリサーチのような作業はCoworkのセッションが担当します。利用者は難しい設定をせず、話しかけるだけでよいというのが、初心者にとって嬉しいポイントです。
Dispatchでは、ClaudeがWordやExcel、社内のダッシュボードなどのアプリを実際にクリックしたり入力したりして操作する機能も利用できます。まるでもう一人の担当者が代わりにパソコンを触ってくれているような感覚です。なお、この機能は現在のところLinux版のベータでは利用できません。
言葉だけではイメージしづらいと思いますので、実際にDispatchへ送るとよいお願いの例を挙げてみます。
- パソコンにあるスプレッドシートからデータを読み取り、要点をまとめたレポートを作ってもらう
- Slackやメールをまとめてチェックしてもらい、重要な連絡だけを朝の報告として届けてもらう
- Googleドライブに入っている資料をもとに、体裁の整ったプレゼン資料を組み立ててもらう
- パソコンの特定フォルダにたまった書類を、種類ごとに整理してもらう
- 「ログイン画面の不具合を直しておいて」のように伝え、Claude Codeによるコード修正を任せる
特に開発の知識がない方でも、最後の例のように言葉でお願いするだけでプログラムの簡単な修正が進むという体験は、AIの進化を実感できる部分だと思います。もちろん出来上がった内容はきちんと確認することが大切です。
DispatchはClaudeの記憶機能とつながっています。過去にどんな作業を頼んだか、どんな進め方を好むかをClaudeが覚えておき、次回以降は同じ説明を繰り返さなくてもよいという仕組みです。たとえば「資料は箇条書き中心でまとめてほしい」と一度伝えておけば、次からはその方針を踏まえて作業を進めてくれます。もちろん、記憶している内容はいつでも自分で見返したり、削除したりできますので、安心して活用できます。
Dispatchでは、一度だけ設定しておけば、あとは自動で繰り返し実行される定期タスクも組めます。毎朝メールを確認してほしい、毎週の数値をまとめてほしい、といった依頼を一度伝えるだけで、以降は指示をしなくても自動的に処理してもらえます。忙しい朝や、つい忘れてしまいがちな週次の作業を、AIに任せきりにできるのは大きな安心材料です。
始め方はそれほど難しくありません。次の流れで準備を進めてみてください。
- 1パソコンにClaude Desktopアプリをインストール、または最新版に更新します。対応OSはmacOS、Windows、Linuxです。
- 2スマホにClaudeアプリをインストール、または最新版に更新します。iOSとAndroidの両方に対応しています。
- 3スマホかパソコンのどちらかでCoworkを開き、左側のメニューから「Dispatch」を選びます。
- 4案内画面が表示されるので「Get started」を選びます。
- 5ファイルへのアクセスや、パソコンをスリープさせない設定など、必要な項目をオンにして「Finish setup」を選びます。
- 6これで準備は完了です。Dispatchのセクションでメッセージを送ると、スマホとパソコンの両方に同じ会話が表示されます。
利用にはPro プランまたはMaxプランが必要です。現時点ではTeamプランやEnterpriseプランには対応していません。ベータ版の機能ですので、今後の仕様変更にも注目しておくとよいでしょう。
Claudeにはパソコンから離れて作業を任せる方法がいくつか用意されています。混同しやすいので、簡単な表で整理しておきます。
| 機能 | 動く場所 | パソコンの電源 |
|---|---|---|
| Dispatch | 自分のパソコン(デスクトップアプリ) | 起動している必要あり |
| クラウドセッション | Anthropicのサーバー | 電源オフでも作業継続 |
| 通常のCoworkチャット | 操作している端末 | 使用中のみ |
とても便利な機能ですが、仕組み上、スマホからの指示がそのままパソコン内のファイル操作やアプリ操作につながるという点は理解しておく必要があります。ファイルの移動や削除、外部サービスとの連携、ブラウザの操作まで行えるということは、それだけ影響範囲も大きいということです。
Anthropicの公式ヘルプでも、次のような点を事前に確認するよう案内されています。
- 連携させるアプリやサービスを信頼できているかどうか
- Claudeがアクセスできるファイルやアカウントの範囲を把握しているかどうか
- 必要になったときに、すぐ接続を解除できる方法を知っているかどうか
また、現時点でのベータ版には次のような制限もあります。会話のスレッドは1本のみで、複数の会話を切り替えて使うことはできません。加えて、Linux版ではコンピュータ操作の機能自体がまだ使えず、ファイルや連携サービスを使った作業のみに対応しています。できることが多い機能だからこそ、任せる範囲を自分で理解したうえで使うことが安心につながります。
この記事のまとめ
- Dispatchは、スマホからの指示で自宅やオフィスのパソコンにClaudeを働かせる、Cowork内のベータ機能です
- お願いした内容に応じて、開発作業はClaude Code、資料作成などはCoworkへ自動で振り分けられます
- パソコンの電源が入っていることが利用条件で、Pro またはMaxプランの契約が必要です
- 便利さと同時に、アクセス範囲を理解したうえで安全に使う意識も大切です
パソコンの前にいなくても仕事が進んでいく、という感覚はこれまでのAI活用にはなかった新しい体験です。まずは身近な作業、たとえば資料の要約やファイル整理といった小さなお願いから試してみると、Dispatchの便利さを自然に実感できるはずです。ベータ版はこれからも改良が続いていく機能ですので、公式情報を確認しながら少しずつ活用の幅を広げていくのがおすすめです。





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